蝦夷春蝉 [詩]
蝉時雨の木々仰ぐ
皆仕尽(みなしつき)の昼下がり
七年越しの行合い空に
我が瞳は色付けど、
気紛れな
分子と微粒子の散乱は
共鳴する同胞の哮りを
一つ、
また一つと掻き消し、
懐かしの故郷に
力無く折り重なる
翅脈と翅脈の間から
無垢な色彩を投げ掛けている
僅か十日の付き合いなれど
己が命の儚さに
七年分の未練が
取拉ぐ様な勢いで押し寄せ、
もう、動く事の無い
この身体を
静かに土へと返すのだろう
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親は土へと返り、子は卵から孵る
彼は死せども、
その意思は次の世代へと受け継がれるッ!(キリッ
【第一部 完】
しめらみ先生の次回作にご期待下さい!ヽ(゚∀。)ノ
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【以下、ちょっとした補足説明】
上記の写真は
北海道の春の風物詩
蝦夷春蝉の成れの果てです。
日本の多くの蝉が
夏頃から発生するのに対し、
この蝉の発生時期は
山野からもようやく雪が消えた5月中頃から
春が終わり、季節が夏へと移行する7月頃までと、
なかなかの変わり者です。
因みに、鳴き声はこんな感じ。
↓
それと、もしかするとツッコミが入るかも知れないので
先手を打って書いて置きますが
蝉は一般的に
7年もの期間を土の中で過ごし、
その後地上に這い出し成虫となって繁殖活動を行い、
僅か1週間から10日程でその命を終えると言われていますが、
この説は必ずしも正しいとは言えないみたいです。
これは、蝉の種類によって7年前後のものから
長いものだと15年~16年程の種がいる他に、
その時の生息環境の状態、
個体間でのホルモンバランスの差等の要因がある為。
上記の文章の中で
七年だとか十日だとか書いていますが
これはあくまで、その個体が経験した期間という設定であって
蝉全体の幼虫期間や成虫期間について
書いている訳ではありませんので誤解がありません様に。
そうそう、先程、
ホルモンバランスがどうとか書きましたが、
昆虫は幼生期間に脱皮を繰り返し大きくなり、
変態という神秘的な過程を経て、成虫の姿へと至ります。
昆虫の脱皮を司るホルモンには
幼若ホルモンとエクジソンというものがあるのですが、
前記した「幼若ホルモン」は
脱皮を促し、幼虫を大きく成長させながらも、
成虫へと変化する変態という現象を抑える、2つの作用を持っています。
この幼若ホルモンは
昆虫の脳の後方に位置する器官である
アラタ体から合成、分泌されている事が判明しており
この器官を物理的に切除する事によって
成虫になるのを劇的に早める事が出来るみたいです。
逆に、この幼若ホルモンを多く投与する事によって
成虫になるのを遅らせて、
幼虫の姿のままで成長させたりも出来るとの事。
同種の昆虫間でさえ
成虫になるまでの期間に個体差があるのは
こうした器官の働きが関係していたという訳です。
以上、覚えていた所で
恐らく人生の役には立たないであろう
どうでもいい雑学でしたw
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